最近よく目に、耳にする「コロナ禍」という言葉。
「コロナ禍を生きる」
「どうする!?コロナ禍の豪雨避難」
「紛争地でもコロナ禍」など、
番組のタイトルや、
テレビニュースのタイトル表記の中などで使われることがあります。
「コロナ禍で苦悩する○○」
「コロナ禍で深刻化する○○」といったタイトルもよく見かけます。
コロナ禍の“禍”という漢字の読み方ですが、
「コロナ禍」の“禍”の読み方は、「か」と読みます。
コロナ渦や、
コロナ鍋と間違える方もおられる様ですが、
「か」と読むのが正解です。
「コロナ禍」の“禍”という言葉の、
意味や使い方をご紹介します。
「コロナ禍」の「禍」は「か」と読み、
「災い」や「災難」「不幸なできごと」を意味することばです。
「コロナ禍」とは、
新型コロナウイルスが招いた災難や危機的状況を指し
新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化するなか、
3月半ば頃から、
新聞やネット上でよく見かけるようになりました。
「コロナ禍」がよく使われるのは、
新型コロナウイルスの感染拡大で、
引き起こされるさまざまな災難や不幸、
経済的・社会的影響など複雑な状況を、短く一言で、
インパクトのある文字で伝えることができるからでしょう。
字数やスペースが限られた新聞の紙面やテレビの画面では、
読む人や見る人に視覚的に訴えかけ、
イメージを共有しやすいキーワードが求められます。
「禍」が後に付いたことばには、
「災禍」「惨禍」「戦禍」「舌禍」などの、
二字熟語も多くありますが、
「コロナ禍」のような、
さまざまな名詞の後に「禍」が付いた形の、
「○○禍(か)」という言葉も、これまでよく使われてきました。
過去にも、
「台風禍」
「洪水禍」
「津波禍」
「集中豪雨禍」
「ウイルス禍」などのことばが、
主に記事の見出しを中心に使われています。
ニュースでも、
本文のなかではあまり見られませんが、
タイトルの画面上の表記では、しばしば使われてきた表現です。
いずれも、
「○○による災難や被害(それに関連した状況)」を、
短くインパクトのある文字で伝えるためのことばと言えます。
ただ、
こうしたことばは「書きことば」としては効果的でも、
「話しことば」としては、あまりなじみません。
テレビやラジオで、
伝え手が[コロナカ]と声に出して言っても聞き取りにくく、
聞き取れたとしても、
「コロナ禍」は最近使われ始めた新語であるために、
意味が伝わりにくいからです。
放送のことばとしては、
「コロナ禍」は画面上の表記に止め、
声で伝えるときには、
「新型コロナウイルスの感染拡大」など、
伝える場面や内容に応じて、
具体的に分かりやすく、
ことばを紡ぐことが求められるのではないでしょうか。
「コロナ禍」ということばの使い方について、
「番組タイトルやニュースのテロップでの使用はあるが、
読み原稿やスタジオトークでは使わない」という意見もあるようです。
放送のことばとしては、慎重に扱っているようです。
今後、
新型コロナウイルスによる影響が長引く中で、
新語の「コロナ禍」が世の中で、
どのように使われていくのか見極める必要があるでしょう。
また、
「コロナ禍」という便利なことばを使うことに対しては、
そもそも慎重になるべきだという考え方もあります。
新型コロナウイルスの感染拡大がもたらす影響は、
個人個人の感染のリスクの問題から、
医療問題、
そして経済問題など多岐にわたり非常に複雑かつ深刻です。
「コロナ禍」ということばには、
そのすべてを表現できる守備範囲の広さというメリットがある一方で、
その複雑さや深刻さが丁寧にことばを尽くして語られることなく、
一言で済まされてしまうというデメリットもあります。
放送では「コロナ禍」ということばを、
効果的に使いつつ、
一方では、
「禍」の現実に向き合い、
その中身を具体的に語る姿勢が必要だと言えそうです。
「禍」に似た漢字による、
「コロナ鍋」
「コロナ渦」
という表記も時々目にすることがあります。
こうした間違いによって、
新たな「災い」を引き起こさないようにご注意ください。
「禍」が意味する「災い」には、
「災いを転じて福となす」
「災いも三年(置けば用に立つ)」などのことばもあります。
新型コロナウイルスによる感染拡大は、
まだまだ予断を許さない状況が続きますが、
新型コロナウイルスによってもたらされた「災い」についても
働き方や暮らし方をうまく変えて、
幸せに転じるよう心がけ、
時が経ったときに、
コロナ禍がきっかけでよいこともあったと思えるように、
日々を過ごしていきたいものですね。
禍とは、
予期していなかった災難や不幸、厄などを意味する語。
音読みでは「か」、
訓読みでは「わざわい」「まが」と読みます。
禍の対義語、反対語は「福」です。
禍の語を用いた語には、
「戦禍」「水禍」などが挙げられます。
戦禍は、戦争による災難の意味で、
「戦禍を被る」「戦禍を逃れる」のように用います。
水禍は、水による災害を意味し、
「台風による水禍に遭う」
「洪水の水禍から免れる」といった使い方をします。
2020年に流行した新型コロナウィルス感染症による災いは、
「コロナ禍」と呼ばれていますね。
「コロナ禍で社会情勢が大きく変わってきている」
「コロナ禍の収束する兆しが見えてきた」という風に用います。
語頭に禍を用いた語には、
災いの神を意味する「禍神」や、
災いを意味する「禍難」などがあります。
禍の語を使った四字熟語には、
「転禍為福」(てんかいふく)
「禍福倚伏」(かふくいふく)などがあります。
転禍為福は、
災い転じて福となすと読むことができます。
自分に降りかかった災いを、
上手く利用して有利に働くようにするという意味です。
禍福倚伏は、
災難と幸福は交互に訪れるものであるというという意味で、
老子の、
「禍は福の倚る所、福は禍いの伏す所」を語源とする四字熟語です。
【禍(わざわい)を転じて福となす】
上記のようなことわざがあります。
これは、災難や失敗にあってもそれを上手く利用して、
自分の有利になるようにすることです。
順風な時より、
逆風が自分を育ててくれるという肯定的な考え方を持ち、
日々を過ごしていきたいと思います。